アレルギー・トピックス〜第52回日本アレルギー学会〜


20021128日〜30日 パシフィコ横浜で
「日本アレルギー学会」が開催されました。
アレルギー疾患の病態はまだ未解明な部分が多く、
そして診断、治療法も日に日に進歩しているのが現状です。

今回も内科・小児科・耳鼻科・皮膚科の医師がアレルギー疾患について、
活発な意見交換、討論がされました。

学会の内容の一部ですが興味あるものをご紹介します。

小児アレルギー疾患を発症する原因は?

最近小児のアレルギー疾患で遺伝子解析が進み、
素因としての遺伝子が知られています。
またアレルギーの家族歴があるお子さんの臍帯血の物質を分析し、
生まれた時すでにアレルギーをおこしやすい状態で
あることわかっています。
アレルギーを発症するのは持って生まれた素因だけではなく、
それに環境因子の影響を
うけるという考えが主流です。
そして現在アレルギー発症に関与する環境因子が全世界で調査されています。

現在のところ、
感染、ペットの影響、内分泌攪乱物質、腸内細菌の状態、
兄弟数などの成育環境の関与があるのでは?

と活発に討論されています。

アトピー性皮膚炎とアレルギーとの関与

今までアトピー性皮膚炎とアレルギーとの関係は
これまで様々な形で議論されてきました。

この問題も現在もまだ結論は出ていませんが、
現在のところアトピー性皮膚炎の発症には、
皮膚の局所でアレルギー反応が起きて
皮膚病変が起きていることは確認されています。
だからといってアトピー性皮膚炎→即全身性のアレルギーと考えるのは
もう少し議論が必要です。

ただ乳児のアトピー性皮膚炎では全身性アレルギーの関与が疑われています。
またかゆみを抑えること、スキンケアーが大切であることが強調されています。
そして今後はある種の免疫・アレルギー反応を抑える薬が
使えるのではないかと検討されている段階です。


アレルギー性鼻炎(花粉症)は治るのか?

アレルギー性鼻炎発症に、
年齢、両親のアレルギー歴、加湿器の使用、花粉時期に関連しています。

アレルギー性鼻炎の症状が3シーズン以上ない人は中高年の方で
20%います。
特に年齢が高く発症して
、男性、家族にアレルギー歴がなく、
スギ抗原に対する抗体を持っていない人が治りやすいようです。

最近では小児のアレルギー性鼻炎が増えています。
しかし小児時期に発症すると、治るのは稀です。

ただ小児で血液検査をするとスギアレルギーを要する人は多くても
実際鼻炎をおこす人は抗体保有者の半分以下です。
アレルギー性鼻炎の発症には素因と
出生後の環境や感染状況やスギ花粉状態で関与が疑われます。

そこで素因のある児は小さいころからの環境整備が必要と考えられます。


総 括

アレルギー疾患の発症には、遺伝的要素が関係しています。
生まれた時にすでにアレルギーを発症する素因を
持っています。
しかしその後アレルギー疾患を発症するかは、
その後の感染、ペット、花粉などの環境因子の
影響を強くうけます。
アレルギー疾患を治療するのに環境整備は大切です。
そして将来、アレルギー疾患の病態が明らかになり
アレルギー反応を根本から抑える治療が開発されるでしょう。